臨床心理士の支援活動と倫理

 

臨床心理士は、例えばスクールカウンセラー、子育て支援、高齢者支援、犯罪被害者等支援など様々な支援活動を行っています。個人で開業している心理士の数も増えているため、幅広い分野で求められる職種となっています。

例えば、スクールカウンセラーとは、文部科学省が推進する事業として全国の公立中学校に配置されています。保護者の方への心理相談や、生徒児童に関する相談、先生方や保護者の方々への研修など、活動内容は広くなっており、その分、ハイレベルな専門性が求められます。

子育て支援や高齢者支援に関しても、現在の社会情勢を踏まえると今後も臨床心理士の活躍が求められる分野です。家族だけでの子育てが難しくなったとされる現代において、多くの職種の人々が子育て支援の活動を行っています。

高齢社会においては、もちろん高齢者の方々への心のケアの重要性はもとより、その家族や関係者への心の支援活動も求められます。このような中で、様々な困難さを抱える人たちが増えていくことに対して、臨床心理士の役割は日々拡大していきます。

 

臨床心理士は人々の心、精神的な側面、内面を取り扱うため、資質や倫理観が特に必要となります。臨床心理士は社会的責任を担う高度専門職業人であるため、臨床心理士として働くうえで、個人の思いや熱意、人生経験だけで成り立つ専門性ではありません。

『臨床心理士倫理綱領』 において定められる内容には、「臨床心理士は基本的人権を尊重し、専門家としての知識と技能を人々の福祉の増進のために用いるように務めるものである。そのため臨床心理士はつねに自らの専門的な臨床業務が人々の生活に重大な影響を与えるものであるという社会的責任を自覚しておく必要がある。したがって自ら心身を健全に保つように努め、臨床心理士に付与される倫理綱領を遵守する義務を負うものである。」とあります。

気持ちや熱意が原動力になる職種です。しかし、それだけでは全く成り立たない専門性であるため、心の専門家としての大きい社会的な責任を自覚する必要があります。