大学院体験記<京都光華女子大学大学院>

京都光華女子大学大学院 人間関係学研究科心理学専攻臨床心理コース

Aさん

 大学院生活の印象は、修士1回生は臨床心理学の理論に関する授業が多く、修士2回生は修士論文の作成と実習活動で忙しかったという感じです。実際にケースを担当するのは1回生の10月以降ですが、カウンセリングセンターのケースのカンファレンスには入学してすぐの4月から参加できます。本学に通って良かったことは、①少人数である、②修士論文の指導に力を入れていること、③教育環境が整っている、の3点です。また、残念に思うことは、心理検査の授業が少ない点です。
 まず、①少人数である点ですが、これには多くの利点があります。少人数であることで授業中にも先生に質問がしやすい環境があります。ケースを担当させてもらう事が多く、経験が積めるという点も大きな利点です。自分の行きたい実習先についても、比較的意見が通りやすいことも利点です。
 次に、②修士論文の指導に力を入れていることです。本学では、週に1回、授業の中に修士論文発表の時間が設けられ、先生や修士1、2回生の意見も取り入れながら、早い段階から修士論文の作成に取りかかることができます。また、ここが本学の特徴ですが、「ゼミ」がありません。ゼミが無いということは指導教員が決まっていないということです。ゼミがない利点は、全ての先生に意見を聞きに行きやすいところです。
 ③教育環境が整っている点については、まず院生室の設備の良さが挙げられます。院生室には1人1台の机が与えられ、パソコンも10台設置されています。レポート作成、ケース記録の生理、修士論文の作成の際にはパソコンは必須のアイテムです。また、少人数ならではのアットホームな雰囲気を感じられるのが、歓送迎会やカウンセリングセンターの専任カウンセラーとの交流です。カウンセリングセンターのカウンセラーは大学院生と年齢が近い方も多く、大学院生活のことなどを相談しやすい存在です。
 最後に、残念に思うこととして、心理検査の授業が少ないことを挙げます。実施手続きから検査結果の分析までは一通り勉強しますが、実際に現場使用できるようになるためには、個人での勉強が必要です。心理検査の道具や解説書等は充実しているので、大学院生同士で勉強していくことが必要かと思います。
 大学院は知識だけでなく、臨床心理に携わっていくための心構えや、現場の厳しさなどを肌で感じることが多くなります。そんな時に支えあえる仲間を持ち、乗り越えていくという経験は今後の臨床心理の現場でも大きな糧になると思います。

Bさん

<研究環境>
 一般の図書館の他、心理学の共同研究室にも図書室がある。授業で教材として使用される著書は、複数冊備えられている。また、希望すれば著書を購入してもらえる。図書館関係に関しては、満足している。
<指導環境>
①教員
 臨床心理学の教員は全員、私にとって心から尊敬できる方である。この大学院に入って、一番良かったと感じている点である。時に厳しい言葉もあるが、決して道をふさぐのではなく、前に進むための糧にできるアドバイスである。修士論文の指導は、受け身ではしてもらえないので、積極的にこちらから教員に働きかける必要がある。
②実習・授業
 修士1回生の前期より、実際の事例を扱うケース・カンファレンスに参加することができる。参加者は教員全員・カウンセリングセンターに所属する臨床心理士・修士2回生・研究生である。実際にケースを担当するのは、1回生の後期からであるが、ケース・カンファレンスに参加することでイメージを持つことができる。また、ケースを担当する前に、インテーク面接の陪席の経験を1回させてもらえる。スーパーヴァイザーは全員、学外の先生を教員が斡旋してくれるシステムである。なお、認知行動療法は、集中講義で学ぶ。当大学院に認知行動療法を専門とする教員はいない。
③施設
 臨床心理コースの授業はほぼ全てが1つの建物であるため、移動の手間がなく便利である。築6~7年目と新しく、お手洗いも手入れが行き届いており、待つことなく使用でき、女性として嬉しい。
④奨学金
 申請すれば全員に年間10万円支給される奨学金がある。
<院生室の雰囲気>
 1人ずつに机・ロッカーが配備されている。自分の持ち物を、自分の使い勝手の良いように置いておけ、便利である。パソコンは約1.5人に1台配備されている。勉強室というよりは、憩いの場のような雰囲気である。
<入学して気づいた点など>
 少人数(1回生6人、2回生7人)で良かった点、逆に大人数であれば良かった…と感じる点がある。まず、少人数で良かった点であるが、「授業料のおトク感」である。少人数なので、教員にも質問がしやすい。だが、個人的には、もう少し人数がいる方(1学年15人くらい)が勉強しやすかったのではないか、と感じている。その方が、多様な意見や考え方を知ることができたのではないか、とも考える。授業での発言に偏りが感じられる時や、新鮮さに欠ける時がある、と感じることがある。
 入学して驚いたのは、授業数がとにかく多いことである。朝から夕方までほぼビッシリと詰まっており、レポート課題や発表など、「与えられた」課題をこなすのに精いっぱいで、自分の修士論文の研究までなかなか手が回らない。細切れの時間を活用するなど、日常生活での時間配分の仕方、体調管理、気分転換など、自己管理が大切である、と痛感している。