京都コムニタス2011年講演会

pub_main1.jpg東日本大震災における臨床心理士の活動について、
阪神淡路大震災における心のケア活動を踏まえお話し頂きました。

まず被災者の方々に必要なことは、衣食住の生活支援です。
阪神大震災では仮設住宅等への移動も含め生活の安定が見られ始めたのは震災後6ヶ月頃でした。
被災者の方々の生活の安定があって心のケアが有効になります。
臨床心理士が支援者として必要になるタイミングは今(3月27日現在)ではないことと、
そのタイミングを検討することが重要であるということでした。

また、鶴田先生は臨床心理士の活動として、
①積極的なアウトリーチ活動、②心理的・専門的なことは強調しないこと、
③他の援助者・ボランティアとの連携・コンサルテーション、④援助者への支援の4点を挙げています。
被災者の方々への支援と同様に援助者への支援が重要であるとも述べておられました。

また、特に子どもは言語化が難しいため、描画を用いたアプローチが求められます。
絵を描くという作業は、体験を表現することであり、自分の中の感情を出すことです。
支援者が子どもの表現を共有することで子どもは安心して感情を出すことができ、
そのような体験が子どもにとって意味のあるものになるということでした。

以上のように約半分を被災支援についてのお話をしていただきました。
子育て支援に関しては、親の社会化の重要性についてお話し頂きました。
現代のような核家族社会において、親子関係を中心とした家庭内における問題は顕在化しにくいとされます。
特に虐待に関しては、親が悩んでいない場合や、悩んでいても相談することに抵抗があり、
親自身が自発的に相談の場に来談することが少ない状況もあります。
そのため、親が社会化することによって、子育て自体を公共化するのです。
虐待環境に置かれている子どもを救うためには、親に子育てについて悩んでもらい、
周囲に悩みを打ち明けてもらい、その悩みを共有することが必要になります。

これが親の社会化です。
支援者は相談の場に自発的に挙がってこない親にどのように社会化を求めていくかが重要になります。
そして、臨床心理士は親から子育ての悩みを聴くことが役割になります。
臨床心理士は心理学の知識を有し、その知識をものさしとして使うことによって、
親の悩みに対して支援を考えていくことができます。